安全に関する取り組み

安全確保は鉄道における最も重要な使命です。
当社では安全確保・安全管理の体制を規定として定め、全社的に様々な取り組みを行っております。
ここでは当社が実施している安全対策についてその一部をご紹介いたします。

駅における取り組み

防犯カメラ
駅構内の状況確認や犯罪抑止を目的に、駅構内の各所に防犯カメラを設置しています。
運用しているカメラの映像は全て録画されており、一定期間厳重に保管されます。
当社線各駅で5000台以上のカメラが設置・運用されています。
駅係員・警備員による巡回
定期的に駅係員や警備員が構内を巡回し、不審物の有無、施設の状況などお客様に危険が及ぶ箇所がないか点検を行っております。
警備体制については利用状況等を考慮し随時見直しを行っています。
停電対策
必要な電力は複数の変電所から受電しており、1か所の変電所が停止した場合でも直ちに停電することはありません。仮に全ての電力供給が停止し、列車が駅間で停止した場合でも車載バッテリーによって非常用照明や放送は正常に動作します。これに加えて地下駅では非常用発電機を複数設置し、防災上必要な機能が維持できるようになっています。発電機は駅へのすべての電源供給が絶たれると自動で起動し、必要な電源を供給します。
駅の火災対策
2003年に発生した韓国・大邱での地下鉄火災事故を受け、地下駅全駅において避難経路の複数確保、排煙設備、蓄光式避難誘導標識、二段落としシャッターなどを整備しています。
帰宅困難者への対応
大規模災害発生時、帰宅困難者が発生することを見越し、各駅に飲料水等をはじめとする非常食、簡易ブランケット、簡易トイレ、マット、救急用具などを配備しております。
また、運行再開までの間駅構内を一時待機施設として開放いたします(被災状況によっては現場責任者の判断で開放しない場合がございます)。
風水害対策
地下区間・地下駅では浸水のおそれがある出入口を歩道より高い位置に設置したり、止水板・防水扉を用いて出入口そのものを封鎖することで構内への浸水を防ぎます。駅間や路上にある換気口では浸水防止機を設置し、感知機能で自動的に動作するようになっています。
これに加え、トンネル開口部では駅間に防水ゲートを設置し、浸水時にはこれを展開して線路を封鎖することで浸水悪化を防ぎます。
地上区間では一定距離ごと、および橋梁区間に風向・風速計を配備し、風速に応じた運転規制を実施します。
2012年以降、当社では海抜の低い駅、地下駅、海岸・河川から5km圏内に位置する全ての駅において出入口にその地点での海抜を表示しております。



(上:海抜表記の一例 下:津波避難ルートの案内標識)

列車運行における安全対策

TRAIL総合指令センター
列車運行を管理する輸送指令部門(運輸・旅客)と設備面を管理する設備指令部門(電力・信号通信・施設)を一つに集約し当社線全線全列車を管制しています。
列車の運行管理には自社開発した「T-CROSS(ティークロス)」と呼ばれる列車運行管理システムを用いて進路設定・出発指示合図送出・運行整理・駅発車標等案内設備への反映を自動で行っています。
指令センターで運行管理を行う社員(指令員)は、担当する線区の全列車の走行位置を「TID」と呼ばれる装置で常時把握しており、当社線内を運行する全列車の乗務員とは列車無線によって常に通信を確保しています。
相互直通運転を行う事業者をはじめとする関係鉄道事業者・各機関と接続したホットライン回線・テレビ会議回線等を用いて緊密な連携を取りながら業務を行っています。
ATC(自動列車制御装置)
列車が指定された制限速度を越えようとしても、それを超えないよう、自動的にブレーキをかけて制限速度以下まで減速させる信号システムです。
当社ではデジタル信号により制御する「TRAIL式デジタルATC」を自社開発し全線で運用しています。
信号は信号機ではなく運転台に設置された速度計に表示されるため、信号機の見落としといった事態は発生しません。
先行列車との衝突防止・間隔維持やカーブ・ポイントにおける速度制御などの機能を有し、前述の通り制限速度を越えようとしても自動で減速するため制限速度超過の可能性が極めて低く、高い安全性を確保しています。
この他、駅設置の非常停止ボタンが操作された場合周辺区間に緊急停止信号を送出するほか、任意の区間に臨時の速度制限を設定することも可能です。
ATO/TASC (自動列車運転装置/定位置停止装置)
ATOは発車・駅間走行・停車駅への停車といった一連の運転操作を自動で実施するもので、列車は一定間隔ごとに軌道に設置された「地上子」と呼ばれる装置から現在位置情報を受け取ることで正確な位置への停車を実現しています。現在、無人運転を実施しているたまがわライナーにおいて使用しています。仮に正しい停止位置に停止できなかった場合、自動で停止位置を修正する(インチング機能)ほか、指令センターから手動介入で修正させることが可能です。
TASCは駅停車時のブレーキ操作のみを自動でおこなうもので、発車・駅間における運転は運転士による手動運行で行います。モノレール線で使用しています。
ATO・TASCには先行列車との間隔維持・速度照査機能がないため、ATCを併用して安全性を確保しています。
列車無線システム
「列車無線」とは運行を統括するTRAIL総合指令センターと各列車間の間に整備された音声通信システムで指令員⇔各列車乗務員間の通信手段として運用しています。
当社では2000年代に入り実用化されたデジタル列車無線方式を採用しています。大容量通信が可能なデジタル方式を活用して乗務員に対する運転通告情報や運行情報、周辺区間の在線情報などもデータとして配信しています。
防護無線システム
「防護無線」とは列車無線と別系統に整備されており、緊急時に乗務員がボタンを押すことで非常事態を知らせる信号を周辺の列車に発信し、それを受信した列車は運転士が列車を緊急停止させることにより安全が確保されるようになっています。
総合指令センターでは防護無線を発信した列車を特定することができ、迅速な事態把握、運行整理に役立てています。
鉄道電話・指令電話システム
「鉄道電話」はいわゆる内線電話で、当社の各部署や駅・車両基地・保線センター等に敷設することでNTT電話回線を使用しなくてもやり取りが行えるネットワークを構築しています。大規模災害発生時に輻輳状態に陥りやすい一般加入電話網とは違い、安定した通信が可能です。
駅係員などが携行している業務用携帯電話(業務用スマホを含む)もこの鉄道電話回線に対応しています。
「指令電話」は総合指令センター⇔各駅・乗務区・検車部門等の間に設けられた通信回線で、指令センターからは線区・地区・個別に呼び出しが可能で、必要な連絡を一斉に行うことができます。
これらの設備は地上に専用回線を敷設することで使用できるシステムであるため、大規模災害等により回線が寸断された非常時に備えて主要施設に衛星電話を別途配備しています。
車両異常挙動検知システム
車両に搭載されたシステムが常時車両の挙動を監視しており、車体に対して上下(脱線)・左右(転覆)・前後(衝突)の3方向のいずれかから一定以上の加速度を持つ挙動を検知した場合、乗務員の操作がなくとも自動的に列車防護措置(非常ブレーキ動作・防護無線発報・警笛吹鳴・パンタグラフ降下・信号炎管点火)を行うものです。
2014年度製造車両から標準装備を、既存車両には直近の重要部検査・全般検査時に追設し廃車予定車両を除いて2019年度末までの搭載完了を目指します。
ホームドア
当社線各駅ではホームドアを設置しており、ホームからの転落事故や列車との接触事故を防止しています。鉄道線ではドア数・位置の違いを考慮し、車両とホームドアの間に一定の間隔をあけて設置、モノレール線・たまがわライナーではホームの端に設置しています。
時速130kmキロ以上で通過する列車がある駅ではホームドアが完全に閉じていない場合、信号によってホーム手前までに120キロ以下に減速させ通過するシステムが完備されています。

※一部駅では設置しておりません。
全線立体交差
全線で700キロ以上のネットワークを持つTRAIL線の本線上には踏切が1か所も存在せず、全線において立体交差100%を達成しています。
(係員用通路として一般のお客様が立ち入れない区域内において踏切を設置している箇所があります)
列車非常停止ボタン
お客様が線路に転落した場合や、線路内に支障物がある場合にこのボタンを押すことで付近を走行する全列車に停止信号を送出し強制的に停車させるほか、駅係員に非常事態を知らせることができます。全駅のホームに20m以内の間隔で設置しています。
また、各駅事務室・改札窓口にも同じボタンを設置し、お客様から事務室や窓口に通報があった際に直ちに列車を停止させられるようになっています。
車内監視カメラ
列車車内(客室内)への監視カメラ設置を推進しています。
2019年度末までの全車両設置を目指し現在整備中です。
転落検知装置
車両とホームとの隙間が広くなってしまう曲線ホームに設置しています。お客様が線路に転落した場合、装置が転落を検知し駅係員に警報音とともに位置を知らせるほか、付近の列車に停止信号を送出し列車を停止させます。
火災対策
当社保有旅客車両および当社線に乗り入れる他社保有の車両は国土交通省が定めた「鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年12月25日国土交通省令第151号)の解釈基準に定められた「地下鉄等旅客車」の規格に合致したものとなっております。
これは列車火災を想定して車両製造に使用する材質のほぼすべてを不燃性・難燃性のものとするように定めた基準で、長大地下線を有する当社では保有する旅客用車両のすべてをこの規格に沿った設計としているほか、直通運転する他の鉄道事業者もこの規格を満たした車両を設計・製造しています。
早期地震警報システム(緊急地震速報)
地震の初期微動(P波)を検知する地震計を沿線各地・周辺沿岸域に設置し、大きな地震となる可能性のあるP波を検知すると自動的に列車無線を通じて警報を全列車に送信し、受信した列車の乗務員が列車を停止させます。駅に停車中の列車は発車を見合わせます。
また、気象庁から発信される緊急地震速報にも連動しています。震度情報や津波警報等の情報は列車無線を通じてデータで配信されるほか、乗務員が携行するタブレット端末にも同じ内容が配信され、津波襲来が予想される場合においては避難ルートをタブレット端末に表示させることが可能となっています。

安全教育・訓練

TRAIL総合研修センター
鉄道運行に必要な知識・技能を備えた人材の育成を実施しています。
駅係員については実際の駅務機器等を配置し駅と同じ環境で研修を行える「駅務研修室」を設け、実際に使用している機器類を操作することで教本だけでは伝わらない技術の習得に努めています。
乗務員については「動力車操縦者養成所」指定を受けた当施設において養成教育を行う他、現役乗務員には経験年数により多種多様なカリキュラムを定期的に受講することで技能向上に努めています。自社で養成施設を持たない他社の乗務員研修も当社で受け入れております。
2014年度より、センター内に訓練線設備(通称「けやき線」)が完成、施設内に実際の駅と同等の設備を設置することでより実践的な訓練が可能となりました。訓練線には訓練専用電車を配置しています。
異常時総合訓練
脱線やテロなどによる重大事故が発生したことを想定し、併発事故の防止や負傷者の救護・救出、避難誘導、復旧体制の確立といった事故発生時の知識・技能向上を図るため2006年より毎年実施しております。訓練には当社社員だけでなく、警察・消防関係者と合同で実施し実際の救助活動で使用される器具などを実際に持ち込むなど実践的な内容を取り入れています。